前回のコラムで、不動産投資とは、利益を得ることを目的に不動産を購入し、時間軸と出口戦略を考えて運用することであり、重要なポイントとして、自分の感覚や他人の意見だけに頼ることなく、客観性や再現性のある歴史に基づく相場観を持つことが必須であると述べました。
こうしたなか、不動産投資の利回りは、高ければ高いほど賃料収入の安定性や投資終了時の売却価格が低くなるリスクを含んでいることを頭に入れておく必要があります。
このため、本当に儲かる利回り水準を判断するには、出口で手にするキャピタルゲインを含むトータル利益が、プラスとなり得る物件価格を見い出すことが重要となります。
仮に、高利回りでありながら、リスクが低い物件があったとすると、当然買い手が殺到して物件価格は上昇し、結果として利回りは下がっていくというトレードオフの関係が生じるため、リターンとリスクの見極めを的確に行なっていくことが、不動産投資の成功のカギと言えます。
ただ、例えば同じ間取りで利回り4%と7%、あるいは東京の4%と地方の7%でどちらが儲かるかは一概に言えないことも悩ましいところです。
同じ間取りでの利回り格差は、それなりの理由があると思われるため、きちんと分析したうえで良し悪しを判断しなければ、後悔することになりかねません。
また、東京と地方では、立地の違いによる将来的な家賃収入の安定性や物件価格の格差を反映していると言えますが、利回りが低い東京が安全かというとそう単純ではなく、その際に客観性や再現性のある歴史に基づく相場観が判断の手助けとなります。
投資は、「安い時に買い、高くなったら売る」ことが基本ですが、東京の物件は「買うから上がる、上がるから買う」という状況から実態以上に値上がりするケースも多いため、購入のタイミングで高値掴みしてしまい、出口の売却時に痛手を負う可能性も否定できません。
仮に、東京の投資利回りが4%から1%上昇してしまうと、物件価格は25%も値下がりすることになります。
一方、地方でも安定した賃料収入が得られる管理体制が確保出来れば、安全な投資先になり得るほか、相場観に基づいて利回り7%の物件を買い、その後に投資マネーが入って5%に下がれば、物件価格は40%も上昇することになります。
最新の知識やスキルも大事ですが、歴史を知っていれば、バブルの規模や破裂するタイミング、株価や不動産価格はその時どう動くのかなど多くのことがわかり、物件価格の適正水準を予測することも可能と思われます。