今回より執筆を始めるファイナンシャル・アドバイザーの青沼英明です。

外資系等証券4社での証券アナリストとしての経験や、現在の不動産実務を含む資産運用・財産管理コンサルティング業務を行なうなかで、まずはリスク商品としての不動産投資という観点から情報発信していきたいと思います。

さて、皆さんは不動産投資について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

投資という観点で言えば、利益を得ることを目的に不動産を購入し、時間 (運用期間) 軸と出口(売却)戦略を考えて運用することと言えます。

さらに言えば、不動産でお金を増やすことは、ご自身の資産を増やすための一手段であり、メリットとデメリットを十分に考慮に入れたリスク管理が重要となります。

「株は変動が大きくて怖いが、不動産投資ではリーマンショックなどがあっても、安定した家賃収入が得られるから安心」という方がいますが、その時の不動産価格は大幅に下落しており、インフレヘッジ機能を持つリスク商品としてはほぼ同じです。

その意味では、株も不動産も時間軸と出口戦略によるトータル利益で判断する必要がありますが、ここで重要となるのが相場観です。

誰も将来的なことはどうなるかわかりませんが、リスク商品の価格がその時の需給によって決まっている以上、自分の感覚や他人の意見だけに頼るのは危険であり、客観性や再現性のある歴史に基づく相場観を持つことが必須と言えます。

最新の知識やスキルも大事ですが、歴史を知っていれば、バブルの規模や破裂するタイミング、株価や不動産価格はその時どう動くのか、など多くのことがわかり、リスク対策に繋がります。

不動産投資は、株に比べて流動性が低く、近い将来予想されている大地震や、長らく続いている低金利も、ここからは金利上昇リスクが高まることなどを勘案すると、目の前で生じたリスクに素早く対応できるという点からは、株よりも不動産投資のリスクは高いと言えます。

そのうえで、時間軸と出口戦略によるトータル利益の増加を狙った不動産投資を行なうには、短期志向であれば「不動産の本質的価値の見極め」と「不動産融資の動向」をより注視し、中長期志向であれば、建物や環境の良好な維持管理に努め、その結果として安定した家賃という果実を享受していくことになります。

いずれにしても、「歴史は繰り返す」ことを前提に、将来を見据えた不動産投資を考えてみてはいかがでしょうか。

 
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