以前、不動産を3,000万円で売却したとき、3,000万円が丸々手元に残るわけではない、というお話をしました。売買価格から、売却を仲介してくれた不動産会社に支払う仲介手数料、契約書に貼る収入印紙代がかかります。さらに、売却で利益が出た場合は利益額に対する税金(所得税や住民税)、住宅ローンを組んで購入した不動産であればローンの残金の返済を支払わなければなりませんし、抵当権が設定されていれば抵当権抹消登記費用がかかります。差し引き額のなかでも、意外に高額なのが、仲介手数料と税金です。
■高額な仲介手数料がかかるのは当然?
仲介手数料は売買契約が成立した場合のみ払う成功報酬で、(売却価格の3%+6万円)+消費税(8%)が上限です。売却価格が3,000万円の物件の場合は、(3,000万円×0.03+6万円)×1.08=103万6,800円です。この額を上限に自由に手数料額を決めることができるので、同じ3,000万円で売れた場合でも、仲介会社により手数料率(額)は異なります。
最近、仲介手数料について、「無料」「最大無料」「仲介手数料半額キャンペーン」をうたっている不動産会社を見かけるようになりました。仲介会社は仲介手数料で利益を出すのに、何故無料にしたり、値引きができるのでしょうか。その理由として「広告費を削減しているため」「ベテランスタッフのみで人件費を抑えているから」「インターネットを駆使して販売活動」といった企業努力があげられていますが、儲けが少なくなり困るのでは?と余計なことを考えてしまいますね。
■仲介手数料を無料や割引きができるケース
不動産仲介会社は、基本的に買い主と売り主の双方から仲介手数料をもらいます。文章ではわかりにくいので、箇条書きにします。
◎仲介会社が2つはいっていて、A社が売り主と契約し、B社が買い主と契約した場合→→→売り主がA社へ、買い主がB社に仲介手数料を払います。売り主・買い主それぞれの仲介手数料を半額にしたり、割引しても、利益が出ます。また、売り主の仲介手数料を無料にしても、買い主から仲介手数料をもらうことで利益が出ます。
◎仲介会社が1つで、A社が売り主と買い主の両者と契約し、売買契約が成立した場合→→→買い主の仲介手数料を無料にしても、売り主から仲介手数料をもらうことで利益がでます。
◎買い主が不動産会社A社の場合→→→買い主が業者の場合は必ず仲介手数料をもらえます。A社から仲介手数料をもらうため、売り主Bさんから手数料は無料・半額・割引をしても利益が出ます。
つまり、売り主かと買い主が支払う仲介手数料の合計が不動産会社の利益になるので、両者と契約する場合は、両方とも半額にしたり、売り主または買い主を無料にしても、利益を出すことができるのです。
売却を依頼する契約を結ぶとき、仲介手数料について説明がありますが、上限いっぱいの額を指定されても、「仲介手数料を払うのは当たり前」「決められた金額なのだろう」と、疑問ももたずに払う人が多いのではないでしょうか。けれども、どこの会社も仲介手数料の額は同じではありません。
■割引ができるかどうかは状況を見て判断
仲介会社が親しい友人や親戚だったので、仲介手数料を半額にしてもらった、という話を聞いたことがあります。物件の価格交渉はしても、仲介手数料の値引きを交渉する人は少ないと思います。仲介不動産会社は、仲介手数料で儲けを出していることを踏まえると、極端な値下げ交渉はできませんが、多少の交渉の余地はあるかと思います。
例えば、売却価格が高額な場合は、割り引きを交渉しやすいでしょうし、業者が買い主の場合は仲介手数料を業者からもらえるため、交渉の余地があります。また物件の条件次第ですが、仲介契約をする前に、「仲介手数料を安くしてもらえるなら、必ず御社で売却します」といった交渉はする価値があるかもしれません。