また、2016年10月には住宅金融支援機構から性能向上リフォーム推進モデル事業として「【フラット35】リノベ」が登場しました。お客さま(買い手)が、中古住宅を購入して「性能向上リフォーム」を行なう場合、または住宅事業者により「性能向上リフォーム」を行なった中古住宅を購入する場合に、長期固定金利の【フラット35】を利用する際の借入金利から、さらに一定期間、0.6%金利が引き下げられます。このようにリノベーション市場を応援する仕組みも着々と進んでいます。
ここ数年、中古住宅を購入してリノベーションをして住むスタイル、リノベーション市場が注目され、リノベーション専門会社、専門店も増えてきています。
中古物件市場の可能性が広がる「リノベーション物件」
リノベーションという言葉はもうすっかりおなじみになりましたが、そもそも、リノベーションとは何か、リフォームとどう違うのかはよく分からない方が多いのではないでしょうか。一般には大掛かりなリフォームがリノベーションというイメージがありますが、リフォームは、一般に古くなった建物を新築の状態に戻す「原状回復」「改修」のような意味をもちます。一方、リノベーションは、単なる改修ではなく価値が付加される大規模な改修工事を指します。一見、新築物件と見間違うような物件も多くあります。
既にリノベーションを行い販売されるリノベーション物件も注目されていますが、「自分好みのスタイルを創りたい」中古住宅を買ってリノベーションするスタイルを実現する個性を重視するお洒落な夫婦もいます。また、子どもの学区にこだわりがあったり、住みたいエリアがある家族にとって、立地は最優先条件です。そこで条件が合う立地で中古住宅を購入し、予算と好みと暮らしに合わせて家をつくるリノベーションの需要は、じわじわと増大しつつあります。そして、購入後のリノベーションのみならず、売買契約前のリフォームやリノベーションの提案も増えています。
2009年7月、リノベーション住宅推進協議会が誕生しました。同協会は、内装や設備、構造部などについて一定の建物検査や工事を行ない、品質基準に適合する住宅を「適合リノベーション住宅」として認定。その改修工事の記録を履歴情報として保管するため、一定以上の品質が確保されると言えます。また、検査対象部位について最低2年間の保証期間を設けています。購入する人には、安心して物件を選ぶことができます。
売る側も買う側も安心の要素になる「既存(中古)住宅性能表示制度」
「既存(中古)住宅性能表示制度」は、必ず行なう「現況調査」と、「特定現況調査(腐朽等の現状、蟻害の現状)」「個別性能評価(オプション、構造の安全、火災時の安全、高齢者等への配慮など)」があります。「既存(中古)住宅性能評価」を受けた住宅で、売買契約のトラブルが発生した場合でも、指定住宅紛争処理機関(弁護士会)が迅速・公正に対応してくれます。
不動産を売却する人にとっても、妥当な価格であることは重要ですし(少しでも高く売れるに越したことはありません)、実際の価値より低い価格で売却するのは不本意でしょう。適正な価格を裏付ける要素となる、中古住宅の品質を示す制度として「既存(中古)住宅性能表示制度」があります。国土交通大臣が指定した指定住宅性能評価機関の評価員(建築士)が、既存住宅の性能を調査して記録(建物住宅性能評価書)を作成し交付します。
既存(中古)住宅性能表示制度」は、正確には、検査時点の状態を評価・表示する制度で、建物の瑕疵(欠陥)があるか否かを判断するためのものではありませんが、品質を目に見えるように数値化し、万が一の場合のトラブルの際も適正に処理され、購入する人には安心の要素になります。お互いに、安全な取引をすることができるので、セールスポイントにもなるでしょう。「既存(中古)住宅性能表示制度」は、売却しようとする人が、検査を申し込むことも可能です。料金は、一戸建て・共同住宅等、面積、検査内容により異なります。ちなみに、一戸建ての現況調査のみの場合は、4万8000円から。けっして高くないと筆者は思いますが、いかがでしょうか。