ライフスタイルは十五年サイクルで大きく変わるといわれる。その他にも、仕事や収入、家族構成、家族を取り巻く環境が変わったり、人との出会いで「買い替え」が必要になる場合もは多々ある。
不動産を持っていることは、なんとなく気持ちに余裕が生まれるのかもしれない。仕事の忙しさが極まり「もっと中心地に近い場所に住みたい」「自分の時間をもっとつくれたら」という気持ちがピークに。ある新築マンションを取材して「ここに事務所を構えたい」という気持ちが高まった。都心物件が増加して価格が下がり、低金利。そして、地方のフリーライターといえども当時はまだ景気がよく、何度か繰り上げ返済をして住宅ローンの残額はかなり少なくなっていた。
今住んでいるマンションを売れば、新築マンションの新たなローンが組めるのでは……。基本的に楽天的な私は、なんの見込みも計算も保証もないのに、ざっくりと「売れば買える」気がした。
■売却して住宅ローンを返済、新規物件を購入
購入したいマンションの営業担当に、買い替えが可能かどうかを相談した。まずは、住んでいるマンションを売却したお金で住宅ローンを完済する。そして借金ゼロになったところで、予定している売却価格の残りを新築マンション購入の頭金にして、残額で住宅ローンを組む流れだった。
購入が先か、売却が先か。しばしば議論にあがるが、先に売却ができれば、購入するマンションの住宅ローンを安心して組めるし資金計画も立てやすい。
■「買う」会社に「売却」を依頼する方が良かった?
しかし、私の場合、売却と購入を同時進行で進めた。購入するには売りたいマンションが少しでも高く、希望額で売れることが条件だ。楽天的な私は、ここでも「なんとかなる」「すぐに売れる」と思いこんだが、なかなか売れなかった。「住んでいるマンションが売れれば買う」という条件だったため、買い替える予定のマンションの担当者は、だんだんしびれをきらした。
他にも購入希望者がいれば、1住戸でも多く、早く売りたいはず。「買うかどうかわからない」私のために、いつまでも希望の部屋を確保しておくわけにはいかないだろう。そして、たまたま購入予定の担当者の方が熱心だったこともあり「購入するマンションの売り主に売却を依頼すれば良かった」と思ったが、これも担当者によるのだろう。
■売却と購入、どっちが先?それぞれにメリットとデメリット
お金に余裕があれば、まずは新居を購入して住み替えてから、住んでいたマンションの売却先をじっくりと探せる。その方が高く売れる場合もあるし、想定した価格より下回る場合もあり、賭けになるだろう。
売却を先に行ない、新居の購入をじっくり探す場合は、売却してから購入までどこに住むかが問題だ。まして、引っ越しが2回になれば、費用も手間も倍になるわけだ。
また、私のように売却と購入を同時に進めるのは、引き渡し時期と入居時期のタイミングの調整が難しい。売却を依頼した会社と購入を予定している会社の両方と相談しながら、購入する相手先の予定もあるため、バランスをとりながら慎重に進めなければならない。また、「早く決めたい」という焦りから、売却額を下げざるをえないことがある。
それでも、自分がいつ何をどうしたいのか。私は大雑把な性格からお金のことはざっくりと考え、買いたいという意思が優先だったが、売却先を見極め、資金計画をしっかり立てて、自分がどうしたいか、バランスをみて進めるのがいいだろう。