私はマンションを2回買い、1回売却している。前回も書いたが、購入するより売却する方が難しい。マンションを買う場合、永住目的はもちろん、将来はわからないが、毎月家賃を捨てるより自分の財産になる方がいいと、「借りる」より「買う」を選ぶ人もいるだろう。

「転勤があるかも」「どこに嫁ぐかわからない」「子どもが増えたら一戸建てに住み替えたい」など、将来のライフスタイルが変わるかもしれないなかで物件を購入する場合、イザというときの「売りやすさ」「貸しやすさ」を視野に入れて物件を選ぶのは当然のことだ。

それでは、どんな物件が「売りやすい」「貸しやすい」のだろうか。


駅から徒歩5分以内の駅近マンションは売りやすい

 マンションは立地を買うといわれる。

私が売却したマンションは仙台北の副都心にあり、地下鉄駅から徒歩3分の立地。大型スーパー、コンビニ、大型公園、体育館、スポーツクラブ、カルチャーセンター、銀行・郵便局もすべて徒歩5分以内。内科をはじめ各種クリニックが身近に充実していた。       つまり、平日の通勤は便利で、買い物やグルメに事欠かない、休日はスポーツや自然と親しめる。イザというときの医療施設・金融機関まで徒歩10分以内。しかも、駅から近いわりに、大通りから一本奥にあるため比較的静かな環境にあった。すぐに買い手がつきそうな、申し分ない立地と自負した。

 確かに通勤や生活の利便性を重視する人にとってはうってつけのロケーションだが、小学校・中学校へは徒歩で10分以上かかり、中学校へは20分位で仙台市のレベルではやや遠い印象だ。また、すぐ近くにパチンコ屋さんがあるのも、子育て世代には気になるかもしれないと思った。

「その人にとって最適な立地」はそれぞれ。立地は大事だが、環境、周辺施設、間取り、築年数、管理状態などをトータルで見て、プラス感性、感情というフィルターを通して、価格と相談して。いくつかのハードルを超えて選ばれるかどうか……。


売却するなら異動や引っ越しシーズンが狙い目

築年数7年の中古マンション。中規模マンションだけに大型マンションのような豪華な共用設備はないが、管理人が日勤で清掃もきちんと行なわれ、整然とした印象のマンション。条件的に悪くないと思ったが、なかなか売れなかった。                                            

売りやすさは、もちろん立地条件だけではない。時期とタイミングが大事だ。

その時期に駅近立地で価格的に割安感がある新築マンションが数多く分譲されているかどうか。経済、社会的な状況がある。また、2月~3月ごろの就職・新入学の引っ越しシーズン、3月末や9月など異動が多い年度末が売りやすいといわれている。


売りやすいターゲット像をしぼりこむ

 このマンションはどんな人が買ってくれるのか、考えてみた。間取りが2LDKということもあり、子育てファミリーよりは、シングルやDINKSだろう。車をもたなくても徒歩圏内で生活の全てが済むことから、子どもが巣立ったリタイア層の夫婦にもいいと思った。

売却が決まるまでは思ったより時間がかかったが、ついに買ってくれる人が現れた。地下鉄駅直結の百貨店に勤務するシングル男性で、通勤の便利さを何より優先していたようだ。「こんなに便利なマンションに住めるのは本当にうれしい」と彼は話した。やはり想像していたイメージに近かった。    
将来、ライフスタイルや自分が住まいに求める条件が変化することは多々ある。永住すると決めていても、多少は「売りやすさ」という目線で物件をチェックしておくといいだろう。単に「売りやすい」だけではなく、どんな人に売りやすいのか、ターゲット像が明確にイメージできる方が有利だと思う。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ