そもそも手付金とは?
不動産売買の場でよく飛び交う手付金という言葉。しかし、この手付金について皆さんはキチンとした理解ができているでしょうか? 今回はそんなややこしい手付金について具体的に見ていきましょう。
おおまかに言えば、手付金とは物件の引き渡しや売買代金の支払いに先んじて買主から売主へ支払われる金銭のことを指します。この手付金は本来であれば売買代金の一部とは見なされませんので、物件の引き渡し完了時などに返還されるべきものですが、実際の取引では煩雑な処理を避けるために売買代金の一部に充当するのが一般的です。
各種手付金の意義
手付金にはその意義により細かい内訳が存在します。一つずつ見ていきましょう。
1.解約手付
解約手付とは後に買主または売主が契約を解除したくなった場合に備えて、あらかじめ支払っておく金銭のことです。この解約手付の支払いさえあれば、「売主が契約の履行に着手する前」のいつでも、買主は手付金を放棄することで契約を解除できます。これを不動産業界では手付流しと呼びます。また、「買主が契約の履行に着手する前」のいつでも、売主は手付金の倍額を支払うことで契約を解除できます。これを不動産業界では手付倍返しと呼びます。なお、ここで言う「契約の履行に着手」とは、明確な定義がある訳ではありませんが、売主による物件の仮登記や買主による内金の支払いなどとされています。
2.違約手付
もし契約の相手側に契約違反があった場合に、違約金の役割を果たす手付金を違約手付と呼びます。もし買主側に契約違反があれば違約手付は売主のものとなり、反対に売主側に契約違反があれば買主に違約手付の倍額が支払われる形になります。
3.証約手付
買主に物件を購入するつもりがあること、および契約を結んだという事実を示す証拠として支払う手付を証約手付と呼びます。
手付金には以上の3種類がありますが、特に定めが無い場合、基本的に全ての手付金は1の解約手付と見なされます。ただし、後から手付金の性質をめぐってトラブルになったりしないよう、手付金の支払い時に書面にて「この手付金はどの種類の手付金か」を明示してもらっておくのが良いでしょう。