自宅売却の際に、近所付き合いが弊害になることがあるというのをご存知でしょうか。
特に、一戸建ての売却では、近所付き合いが売却の弊害になることがあります。ケースとしては少々稀な話ではありますが、現実に起こっていることなので、その事例をご紹介しましょう。
■(事例)一戸建て売却時の思わぬ伏兵
自宅の一戸建てを売却しようと決めたAさんは、不動産会社に依頼して売却を進めてきました。購入希望者も現れ、価格や条件も折り合ったところで順調に契約まで締結し、後は購入希望者の住宅ローンの承認がおりれば、引渡しとなるところでした。ところが、Aさんが自宅売却にあたって手配していた測量のところで問題が発生しました。
一戸建ての売却時には、取引条件として敷地の面積を正式に決定する必要があります。公簿(=登記)面積で取引することもありますが、堅実に取引するためには、測量後、隣接する敷地の境界を隣接地の所有者の立会いの下、境界の確認を行い、測量した面積を正式なものとします。
■問題の原因は?
事例では、この境界確定の折、隣接地の所有者が敷地境界の確認のサインを頑なに拒んだのです。原因は、近所付き合いのもつれでした。気に入らない相手のためにそうした協力はできないというのです。
運の悪いことに購入希望者が住宅ローンを申し込んでいた銀行では、必要書類として敷地境界の確定書類が必要だったため、ローンの承認がおりず、結局、契約は白紙撤回となりました。まだ白紙撤回で良かったと言えます。場合によっては売主側が違約金を支払わなければならなくなるところでした。
この事例は、稀なケースですが、不動産の売却時にこうしたこれまで問題視していなかった問題が表面化してくることがあります。
この他にも、不動産を売却するということをきっかけに、思いも寄らず、子供が親の自宅を売却することに反対し、相続問題に発展するということもあります。
■近隣、家族などの人間関係も意識が必要
このように見えない人間関係の問題が不動産の売却を契機に表面化することがあります。できれば、不動産の売却時にこうしたことが起こらないよう、人間関係についても意識しておきたい部分です。不動産売却を考えたときに、近隣や家族間で問題が起こりそうな場合は、不動産の売却相談の段階で不動産会社にお話ししてください。問題の解決まではできませんが、売却するための善後策が可能な場合もありますので。