弁護士として様々な事件への対応を日々求められておりますが、不動産絡みの案件として具体的にどのような事件が多いのか今日は書かせていただきたいと思います。
① 賃貸借契約の解除・建物明渡請求
弁護士が対応する不動産案件としてはこの類型の案件が多いかと思います。貸主と借主で物件の使用方法や賃料の滞納でもめ、貸主が借主との賃貸借契約の解除を望み、物件の明け渡しを要求する事例です。昨今活発に行われている民泊に関しての争いもこの類型に該当します。貸主と借主との相性にもよりますが、使用方法やその後の対応等で両者が納得しない場合は調停だけでは収まらず、裁判になるケースも一定程度存在します。不動産の賃貸借契約においては軽微な契約違反や一度きりの賃料支払い遅延等では解除は認められず、信頼関係を破壊するような重大な契約違反や複数回の違反がない限り貸主は賃貸借契約を解除することができないとされていますので、借主を誰にするかは貸主サイドは慎重に検討する必要がありそうです。
② 仲介会社との紛争
貸主側・借主側がどちらも揉めることがありうるのが仲介会社です。借主側からすると、仲介会社から説明された内容と実際の内容が異なっており(たとえばペットが入居可能といわれていたのに実際はペットを飼うことができないような事案)、借主側が仲介会社に損害賠償請求を行うようなケースがあります。仲介会社によっては重要事項の説明をきちんと行っていない会社もあり、行政も巻き込んだ騒動となるようなケースがたまに見受けられます。
③ 賃料の増額請求
貸主が賃料の増額請求を行うような案件も一定程度存在します。借主側からすると賃料の増額請求をされることはたまったものではありませんが、相場と比較して賃料が不相当と認められる場合は借地借家法は地代等増減請求権を認めております。相場と比較する場合に貸主は不動産鑑定士等を用いて鑑定を行いますが、この結果も鑑定士によってかなり異なることがありますので、適正な賃料がいくらかを決めるにあたって争いとなることはあり得ます。
以上の3類型は賃貸借に関する案件が中心でしたが、売買に関する案件についても今後書かせていただく予定です。