最近の民泊事情についてお話ししようと思います。現在、民泊は東京都大田区において条例化されておりますが、今後規制緩和が進んでいく流れになる予定であるとはいえ、現時点では他の地域では旅館業法の規定の適用があります。
ただ、民泊において最もトラブルとなるのが、旅館業法よりも賃借人の転貸禁止条項違反や管理組合との軋轢です。今後旅館業法が緩和されてこの部分に関してクリアーしたとしても、賃借人と賃貸人間のトラブルは避けて通れません。特に民泊では頻繁に異なる国の人や異なる年齢。異なる文化の人々が物件をほぼ毎日利用するようなケースが多いので、騒音やマナー等でトラブルとなる可能性は高いのです。
私が耳にしたケースでは管理組合から依頼を受けた弁護士より防犯カメラの画像付きで内容証明を送られてきた賃借人もいるようであり、賃貸人からしてみても物件が民泊に利用されるのか否かという点は大きな関心事であると思われます。また、賃貸人の中には物件の価値が毀損されたことを理由に損害賠償請求を行う方もおられるようです。賃貸人からすると、内容証明を送ったり注意喚起をしたりしても、民泊を一向に認めないような悪質な賃借人も少なくはないようで、非常に困惑されている方も多いとのことです。
このように民泊市場が活気づくとともに民泊を禁止する物件も多く出てきており、民泊目当てで物件を借りようとする人からすると適切な物件が不足しているようです。そのため、民泊ができる物件の価値は非常に以前より高まっており、既に物件をお持ちの方がご自身で民泊を行う方もいるようです。そういう意味では民泊に向いている物件の価値は大きく上がっているようです。
今後政府が旅館業法に関してどの程度の緩和を行うかにもよりますが、民泊が不動産の価値に少なからず影響を及ぼすことは間違いなさそうです。それとともに民泊をめぐるトラブルも多くなることが予想されますので、事前に民泊のリスクについて調査しておくことは必須です。