第6回では、自社ビルを取得【17ステップ】のうち、ステップ11~12について、詳しくポイントを見ていきましょう。

ステップ11.資金計画の具体的な詰め

購入を検討する物件が特定されたら、より具体的な資金計画を立てて、金融機関との詰めの交渉を行います。

・自己資金をどこまで出せるか?

・月々の返済可能額を決める

自社ビルの一部を賃貸する場合は、入居するテナントからの預託金(保証金または敷金)も、返済資金の原資として充当してもいいでしょう。

但し、テナント退出時には預託金を返済する必要がありますので、日常使用する現金とは別に保管されることをおすすめします。

賃料収入から借入返済や管理費用を引いた剰余金の一部ももちろん原資となります。

一般的に、自社ビルの建築期間は1年以上、計画段階を含めると数年にわたる場合もありますので、長期的なリスクも考慮した余裕のある資金繰り計画が重要となります。

ステップ12.経営情報悪影響の再確認

自社ビルを取得することで、企業のバランスシートは大きく変化します。

自社ビルとして取得した不動産は、会社の資産を大きく増加させ、借入金は負債を大きく増加させます。

このようなバランスシートの変化に対して、自社が対応できるかどうかを十分に検証することが重要です。

賃料の支払いがなくなる代わりに、月々の借入元金の返済および利息の支払いが必要となります。

年間に計上できる減価償却費は増大しますが、固定資産税などの新たな税金の支払いも発生し、法人税等も増えます。

このようなキャッシュフローの変化に対応可能かどうかを、よく検証しておく必要があります。
資金繰りについては、メインバンク、信頼できる顧問税理士や経営コンサルタントへの相談はもちろんですが、自社の経営に対することですので、経営陣としての最終責任をもった意思決定が重要となります。

(その7)へ続く

参考文献
自社ビル取得&運用マニュアル(すばる舎リンケージ)

株式会社ダク・エンタープライズ
株式会社首都圏ビルマネジメント
代表取締役 阿部龍治

 
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