住宅履歴情報ってどんなもの?
人間の場合、母子手帳やお薬手帳を見ると「○歳の頃に予防注射を打った」「この時期にこんな病気をした」ということが分かりますよね。有利な売却を進めるためには、人間と同じように住宅(建物)にも、いつ・誰が・どのように新築し、修繕し改修したのかを明確にしておく必要があります。買い手の立場になれば、「○年前に改修したかな、多分」と言われるよりも、図面を見ながら「○年前に○○業者にこういった改修をしてもらいました」と言われた方が安心なのはお分かりいただけますよね。
新築段階では何を残しておけば良いの?
新築段階では建築確認(建築確認申請書や完了検査などの手続き書類)・住宅性能評価を受けるために作成された図面や書類・新築工事関連の図面や書類を残しておきましょう。「どれも図面は同じじゃないの?」と思われがちですが、斜線制限計算をした式が書き込まれていたり、より詳細な図面が添付されていたりと内容が異なる場合があります。それぞれを全て保管しておくようにしましょう。
維持管理段階では何を残しておけば良いの?
新築後ずっと続く維持管理段階では、維持管理計画(点検・修繕の時期が書かれた書類や図面)・点検や診断、修繕時ごとの書類や図面と写真を残しておきましょう。日本の住宅は欧米の住宅に比べて、建ててから取り壊すまでの期間が短いとされています。住み手だけでなく環境のためにも各住宅を長持ちさせる必要があり、住宅寿命を延ばすために正しい修繕とその記録は不可欠です。
住宅に関わる全ての情報を保管するつもりで
新築段階・維持管理段階でどちらにおいても必要なのが、重要事項説明の情報です。住宅本体の情報に気を取られがちですが、インフラの情報が変わった時・建築に関わる制限などが変わったときもきちんと情報を残しておきましょう。住宅履歴情報を残すことで、売却時に正確な住宅評価額を出しやすくなります。また必要な修繕箇所と時期がハッキリしているので、新たな所有者となる買い手に、適切な修繕・維持管理を引き継ぐことが可能です。
住宅履歴情報は住宅の履歴書
つまり住宅履歴情報は、母子手帳でありお薬手帳であり、住宅の履歴書であるわけです。住宅がどんな歴史を歩んできたのか、しっかりと分かるようにしておきましょう。基本的には住宅所有者が自ら作成すべきものですが、住宅履歴情報サービス機関を利用することで、代わりに作成してもらうことも可能です。