■相続財産は共有しない方が良い
相続では極力、物件を共有
(一つの物を複数人で所有する事)に
しない方が良いだろう。
共有は様々なトラブルの原因となっている
ケースが見受けられるからだ。
■意思決定がしにくくなる
何故共有をする事を勧められないか
と言うと、一つの不動産を複数人で持つ
という事は意思決定を遅らせる事に
なるからである。
例えば、アパートやマンションを
複数人が権利を持つ事になると、毎回、
それなりの決定や変更がある際に
話し合わなくてはならなくなる。
■私が過去に出くわしたケース
かつて不動産屋にて勤務をしていた時の
話だ。ある物件を人に貸す事になった
一家が訪れた。
その際に、共有人が全員訪れて書類に
目を通してもらって手続きをする手間
が生じていた。
このように、一つの物件を複数人で所有
していると、意思決定の他にも実際の
手続きの際にも人が集まり、
持ち分に応じた手続きをしなくては
ならなくなる。
これは、とても手間になる。
■例えば、アパートを3人兄弟で共有
例えばの話だが、相続により
一つのアパートを3人兄弟で
共有する事になったとしよう。
全員が若い時期に相続が生じた場合、
軽い気持ちで共有形式にしてしまうと、
晩年になりトラブルが生じる事がある。
どういったトラブルかと言うと、
各家庭の経済事情が異なる場合などだ。
3人兄弟でそれぞれ裕福になった者、
平均的な暮らしの者、生活がギリギリの者
と分かれてしまった場合にこうなるに違いない。
A「お金があるから、どうせなら
建て替えをして上手く土地を活用したい。」
B「お金が無いから、そのままにしておきたい。」
C「お金が本当に無いから、更地にして売り払いたい。」
このようにして、共同経営が進んでいく
内に肝心な事は何も決まらないまま
いると建物は老朽化が進む。
結果的に入居率も下がるだろう。
■仮に共有物件を売却するには?
では、今回例に出した3人が一つの物件を
相続して、共有する形になった場合、
もし不動産を売却する事に
なったらどうなるのか?
実は共同名義の全員が同意しないと
全体の不動産として売却する事はできない。
自分の持ち分だけを手放す事は
できるだろうが、そもそも肉親から
受け継いだ不動産で同族経営のアパート
になっているので、話が更にややこしく
なると思う。
■専門家による指導を受けるのが大切
このような相続による共有のトラブルを
避けるためにも極力、不動産は共有には
しない方が良いだろう。
また、不動産を持っている人は生前に
残された人のためにどのように財産を
分けるかをしっかりと遺言書に
書くべきである。